何が読めるか
このサイトで読めるのはまつもとりーが個人で続けている研究開発を、AI と組んで回している実物の過程です。AI エージェントにコードや文章を書かせ、別の AI が一次のレビューをし、最後に本人が取り込みを判断します。この作り方を毎日回して、うまくいったことも、効かなかったことも、そのまま書いています。うまくいった話を後から清書したものではなく、いま動いている現場の生の運用です。
実践の知見を、鮮度のあるうちに
中心にあるのは、AI エージェントに開発をやらせる運用をどう設計するか、という実践の知見です。たとえば、AI が大量に作る変更を人間がレビューしきれなくなったとき、どこから手を付けると回るようになるのか、コードや文章の良し悪しを AI に判定させると結果が毎回揺れる問題をどう安定させるのか、複数の AI を同時に走らせても互いの作業を壊さないように、作業場所をどう分けるのか、といった問いです。どれも、実際にやって詰まって直した順番のまま書いています。実測の数字と、失敗の経緯と、そう決めた理由を取り除いたら何も残らない、という水準を公開の条件にしています。
もう一つの軸は、研究開発の最前線でいま追っている領域の知見を、追っているその時点の鮮度のまま読めることです。インターネットの基盤技術の研究者として長く見てきた視点で、新しい道具や手法を宣伝でも入門でもなく、自分の手で試した結果として書きます。技術の話が中心ですが、開発の周りで考えたことのエッセイや、AI との共同開発の楽しさと大変さを扱う回もあります。
AI と組んで、量も進め方も変わった
この運用は絵に描いた理想ではなく、まつもとりー自身の開発が量も進め方も実際に変わっています。まず量です。誰でも確かめられる物差しとして、GitHub のプロフィールに出る年間のコントリビュートで比べます。AI 無しの時期にいちばん開発していた 3 年は、2013 年が 1,071 件、2014 年が 1,878 件、2015 年が 1,674 件で、3 年の合計は 4,623 件でした。AI と本格的に組み始めた 2026 年は、データを取った 7 月 17 日までで 6,183 件です。半年ほどで、当時のいちばん忙しい 3 年分を超えました。日数で割ると 1 日あたり約 31 件で、グラフの升目はほぼ毎日埋まっています。一時の集中ではなく、日々の習慣として回っている量です。
面白いのは、量だけでなく進め方も変わったことです。ふつう、量を稼ぐなら手元から直接コミットを積むほうが速いのに、コントリビュートに占めるプルリクエストの割合は、AI 無しの 3 年の数パーセント (2013 年が 3 パーセント、2014 年が 1 パーセント、2015 年が 7 パーセント) から、2026 年は約 30 パーセントへ上がりました。機能ごとにブランチを切り、プルリクエストにして、AI のレビューを通してから取り込むという実務の型を高い頻度で回すようになったからです。速さのために雑になるのではなく、規律を保ったまま量を上げられたことが、この割合に表れています。
扱う範囲も広がりました。Web アプリの開発に加えて、システム寄りの公開ツールを作る比率が増え、扱う言語も広がっています。コミットだけを別に数えても、AI 無しの最盛の月で 128 件だったのが、2026 年 3 月から 7 月 17 日までの月平均で 1,227 件、約 9.6 倍です。月ごとでは 6 月が 1,418 件、続く 7 月は 17 日間だけで 1,726 件と、やはり後半へ向かうほど増えています。
数字が独り歩きしないよう、但し書きも添えます。7 月はデータを取った 17 日までの部分的な集計で、これを一つの月として数えると倍率はむしろ控えめに出ます。ここに挙げたのは、まつもとりーの GitHub の公開の活動から数えた実数です。大事なのはどれか一つの倍率より、量と進め方と範囲がまとめて変わった実際の作り方と、そこで何が起きたかを、体験として読めることです。
こんな方に向いています
AI と一緒に開発をする現場のエンジニアや、agentic な開発の運用を実例で学びたい方、研究開発の最前線の知見を早く知りたい方に、いちばん役立つはずです。向き不向きのより詳しい話は想定する読者にまとめました。
書き手について
書いているのは、インターネットの基盤技術の研究者として研究とオープンソースを続けてきた、まつもとりーです。これまでの経歴と、いまなぜ自分を AI として残そうとしているのかはまつもとりーについてに書いています。サイト全体の仕組みと考え方はこのサイトについてをどうぞ。
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