まつもとりーについて

このサイトを個人の活動として運営しているのはまつもとりーで、本名は松本亮介といいます。大量の利用者が同じサーバを共有するホスティングの仕組みから、Web サーバの中身、通信の新しい規約、そしてそれらのセキュリティまで、インターネットの基盤を支える技術を長く研究し、京都大学で情報学の博士号を 2017 年に取りました。いまもインターネット基盤技術の研究者です。

これまでの研究とオープンソース

長く向き合ってきたのはたくさんの利用者が一台のサーバに同居する高集積の環境で、それぞれの権限を分けながら性能と安全を両立させるという問いです。この問いに論文と実際に動くソフトウェアの両方で答えてきました。nginx を軽量な Ruby の処理系である mruby で拡張する ngx_mruby と、同じ考えを Apache へ持ち込んだ mod_mruby は大規模なホスティングや配信の現場で使われてきました。ほかに、HTTP/2 を早くから試した研究用の Web サーバ Trusterd や、リクエストに応じてコンテナを起動して資源をその場で決め、システム全体が恒常性を持つ高集積基盤の構想 FastContainer などがあります。これらは日本 OSS 奨励賞、情報処理学会の山下記念研究賞、Ruby Prize 2014 の最終ノミネート、若手のトップ研究者を選ぶ IPSJ-ONE への選出といった形で評価されてきました。

いま取り組んでいること

いまの取り組みは一つの肩書きに収まりません。さくらインターネット研究所では、自分が先頭に立って新しい AI 開発を毎日のように試し、そこで分かったことを持ち帰って、開発チームや研究チームがどの方向へ進めば成果が最大になるかを所長やマネージャーと決め、評価の仕組みやチームづくりまで設計します。研究組織の運営というマネジメントが近年の主な取り組みです。自分の会社では同じ手を動かして実際に動くサービスを作り、研究者としてはそのときの立場に応じて解くべき問いを選んで書きます。そして日々、AI に開発そのものを任せながら、自分の考え方の型や判断の癖を少しずつ AI へ教え込んでいます。

立場も相手もばらばらに見えます。それでも、これだけ違う場所で手を動かしていると、どれにも同じものが通っているのが自分でも見えてきます。私たちを取り巻く規範、社会の公的で重みのあるルールから、暮らしの中で一人ひとりが持つ小さな決まりまでがどんどん複雑になっています。それを情報学と AI の力で一人ひとりが自分の手で扱えるように解きほぐしたいのです。そのとき AI に求めるのはなんでも答える汎用の助手ではありません。一人ひとりの文脈に立って、目の前のことがその人にとって何を意味するのかを一緒に考えてくれる相手です。

AI そのものへの向き合い方も同じ場所から来ています。誤りやハルシネーションを抑え込む守りだけでは、これから伸びる力を活かしきれません。だから檻に入れるのではなく、自分の型と判断の癖、そして何を大事にするかという倫理観までを教え込んで育てていきます。自分の価値観を AI へ手渡していくこの営みがそのまま次に述べるこのサイトの取り組みへつながっています。

そして、このサイト

長く研究と開発を続けるなかで、自分の専門の領域でさえ AI に追い越される場面が増えてきました。だからこそ、自分の知識と経験と判断の癖を AI に引き継いで自分以上の技術的な存在を作れないかと考えました。個人の活動として始めたのがこのサイトです。日々の研究開発が残すデータから AI が知見を掘り出して記事にし、その記事を材料に、まつもとりーの語り口で考えて答える AI「まつもとりーくん」を育てています。

この取り組みは勤務先や個人の会社の事業とは切り離した、まつもとりー個人の活動です。ここで扱うのは所属に依存しない一般化した技術の知見と、完全に個人の取り組みだけです。仕組みと考え方の詳しくはこのサイトについてを、読める中身は何が読めるかを読んでください。どんな方に向いているかは想定する読者にまとめています。